「沖縄」に向き合う映画2本のこと 『戦場ぬ止み』と『うりずんの雨』

安保法案について考える機会が増えるにつれ、「沖縄」のことに関心が傾いていきました。沖縄視察の企画が具体化したこともあり、「沖縄」に向き合ったドキュメンタリー映画を続けて2本みました。

 『戦場(いくさば)ぬ止(とぅどぅ)み』は、『標的の村』を撮った三上智恵監督の新作。名護市辺野古沖への米軍基地移設に対する反対運動・抗議活動の生なましさが、そのユーモアやおおらかさもふくめて映しとられています。

 「基地をつくるな」運動の中心に据えたカメラが叫ぶ、喚起する、狂喜する。翁長知事を誕生させた「オール沖縄」の闘いに胸が熱くなり、現場でこんな命がけの、体を張った戦いが続いているのに、東京にいる自分は遠くから、ときどき思い出す程度のゆるさが申し訳ない思いでいっぱいになりました。

 『うりずんの雨』では、基地問題もですが沖縄の「慰安婦問題」「米兵による性犯罪」に関心がありました。ちょうど、小田実の没後8年シンポジウムでWam(女たちの戦争と平和資料館)館長の池田恵理子さんの講演を聴いたところでもあり、ユンカーマン監督がどのように提起をするのかみたいと思いました。

 ところが果たして、監督はその、性暴力事件を犯した当事者を画面に登場させ語らせる、という思い切った表現を打ち出してきたので驚きました。全県民の怒りを呼んだ米兵3人による少女暴行事件の加害者のひとりです。ひとりは取材拒否、もうひとりはその後自殺したといいます。

 カメラの前でその人は、自責の念やその後の苦悩を語っていましたが、監督がどのような意図だったのかにせよ、そういう機会を与えた一方で、被害者が受けるであろう2重の苦痛を考えると、別の表現もあったのではと思いました。

 しかし「沖縄戦」「占領」「凌辱」「明日へ」と4部に分けて沖縄のいまを多角的かつ客観的にとらえる試みは、沖縄を愛する気もちがあってこそできたのでしょう。

 沖縄に行く前にこの2本の映画を体験していたおかげで、現地の空気に身体がすぐになじんだように感じました。