公営企業会計決算委員会の質疑より9 ~善福寺川の水質改善は子どもたちとの約束
近年、局地的集中豪雨などが増加し杉並区でも浸水被害が多く発生しています。2005年の9月には記録的な豪雨により善福寺川と妙正寺川が氾濫し、杉並区や中野区などの約6000棟が浸水する被害がありました。今年はちょうど10年目にあたります。
ここ2年間の浸水について確認したところ、杉並区内では2013年度、床上21件、床下9件の計30件起き、2014年度は床上62件、床下26件の計88件も浸水被害が出ていました。
都下水道局は、2013年の浸水被害を受けて「豪雨対策下水道緊急プラン」を策定し、「75㍉対策地区」4地区、「50㍉拡充対策地区」6地区、「小規模対策地区」6地区を定めました。杉並区内では、「中野区東中野、杉並区阿佐ヶ谷地区」、「杉並区荻窪地区」の2地区を「50㍉拡充対策地区」に位置付けています。
2014年度には設計や関係機関との協議を進め、杉並区善福寺地区では、雨水ますやグレーチング蓋の取替え対策が完了しました。10年前の豪雨は杉並区で時間当たり最高112㍉でした。これほどの雨が今後降らないとは限らず、事業をさらに前進させる必要があります。
10年前の洪水が深刻だったのは、川が合流式下水道であることによる、都市型洪水と言われる汚水混じりの被害だったからです。23区の下水道の大部分は合流式のため、大雨が降ると汚水の一部が河川に放流されてしまう構造的な課題があり、水質改善は急務です。
下水道局は「経営計画2013」を定め、合流式下水道の改善対策として、流れの少ない河川区間など14水域を選定し、杉並区内の善福寺川はそのひとつです。
善福寺川では、上流部において降雨初期の特に汚れた下水を貯留し、晴天時に水再生センターで処理するための貯留施設の整備を進めています。2014年度はシールドの発進基地となる立杭の設置工事に着手したことを、質疑の中で確認しました。
善福寺川は、ほぼ杉並区内だけを流れる川であり、杉並区民が特に親しみを抱いている川です。流域には小中学校がいくつも立地していますが、区立井荻小学校では川の一部が学校の敷地内を通っており、川が社会科の学習や環境学習、自然体験活動の題材として、子どもたちの学習活動とも深くかかわっています。
子どもたちみずから流域の遊歩道の清掃活動を行い、地域のNPOと連携して川に入り水質検査を行うなどする中で、きれいな川を取り戻したい、という目標を定めて昨年、区長に協力を求めました。善福寺川の水質改善は子どもたちの願いであり、区が子どもたちに約束した政策です。実現に向けて着実に取り組みを進めてほしい、と要望しました。