公営企業会計決算委員会の質疑より12 ~水源井戸と多摩川上流域の水源林が促す水循環
生活者ネットワークは、かねてより、多摩地域の地下水を保全し活用することで健全な水循環を促す活動に、市民とともに取り組んできました。
多摩地域では地下水を飲用として汲み上げるための井戸が使われています。水質を適切に保持し水道水源井戸として使用するために欠かせないのが掘り替えで、水道局の事業として行っています。2014年度の多摩地区統合26市町における地下水揚水量は7,156万㎥で、掘り替えは9か所で実施したとのことです。
地下水揚水量は、ここ10年ほど減少傾向が顕著です。かつて年間1億㎥、1日当たり27万㎥汲み上げていたものが、2014年度は1日当たり20万㎥を下回ってしまいました。井戸の掘り替えが多かったためなのかもしれませんが、水源井戸の更新・補修をすすめながら、今後の復活を期待することにします。
続いて水源林について。水道局は、良質な水を貯えるための森林を育てる取り組みとして、多摩川上流域の水道水源林を23,000ha所有し管理しています。広大な水道水源林を効率的に管理するためには、林道や歩道などの施設が必要不可欠です。
施設の整備にあたっては、水道水源林の持つ「水源涵養」「水質浄化」「土砂流出防止」などの機能に極力影響を与えないよう、必要最小限の範囲に限定しているとのこと。2013年度に購入した約1,000haの民有林についても、森林の現況調査や間伐、枝打ちなどの作業を実施するため、2014年度に約5,700mの歩道を整備したことを確認しました。
水源林の間伐材について、地球温暖化対策のために木質バイオマス資源としての活用も期待されます。有効活用について質問したところ、「費用対効果等を考慮した上で、管内で実施する治山工事用の型枠材や歩道整備用の木柵などの土木資材として利用している」とのことでした。
また、水道水源林のPRのため、キーホルダー等のグッズや、庁舎改修時の内装材、小河内貯水池・水の科学館等に配置したベンチの材料など、可能な限り活用しているそうです。
地球温暖化防止の上からも、資源循環の意味からも、適切な水源林の管理に努め、安全で質のよい水の供給に今後とも取り組んでほしいと最後に求めました。