文教委員会の教育庁質疑より1 ~SSW配置、都立13校でようやく試行開始 

「代理人と語ろう」で教科書採択や教育問題について話し合う 右から小松久子、杉並区議の曽根文子、奥田雅子10/28

児童生徒の問題行動への対応策のひとつとして、子どもの心の問題をケアするスクールカウンセラー(SC)は、現在、都内の全公立小中高校に配置されています。SCには臨床心理士などがあたり、一人ひとりの心理面に働きかけることで一定の役割を果たしてきています。

 しかし、暴力行為やいじめ、不登校などの背景に発達障がいや家庭内暴力、虐待、貧困などが存在するケースが増えており、子どもを取り巻く家族や友人、地域社会などの問題が複雑に絡み合っている場合には、学校が福祉的機関などと連携して対応しなければなりません。

このような状況を文科省がとらえ、福祉的視点からアプローチする、社会福祉の専門家としてスクールソーシャルワーカー(SSW)の活用事業を2008年に始めました。文科省が音頭を取って全国に広め認知度も上がってはきましたが、文科省の事業として配置されている人数は全国でも1,000人ちょっとという少なさです。

 しかし子どもを取り巻く問題が複雑化、多重化、深刻化する現代において、今後もっとニーズが高まっていく職種であることは間違いありません。都立学校でもようやく、試行的にですが配置が始まりました。

 2015年度、都教委は都立学校13校をモデル校として指定し、「福祉分野からの支援を必要とする問題への対応について検証する」ことを目的にSSWの活用を試行しています。SSWは各学校経営支援センターに配置され、週1回程度モデル校に巡回しています。

 SSWの配置の仕方には、特定の学校に配置する方法や、教育センターなどに所属し学校の要請に応じて活動する方法、また、教育委員会や教育センターに所属して所轄の学校を巡回する、などの形態が考えられます。都教委の配置の仕方はおそらく、モデル校の距離的なばらつきとも関係すると思われます。

 そこで今回の13校をどのように決めたのか質問すると、「福祉分野からの支援を必要とする児童・生徒の在籍状況、学校の種類、地域のバランスなどを配慮して決定した」とのこと。

 杉並区では、文科省がSSW活用事業を開始するより2年早い2006年に独自施策として導入し、区の教育分野に欠かせない役割を果たしてきています。それにはスーパーバイザー(SV)の存在も大きいと考えています。