2015年第4回定例会一般質問より2 ~高齢者の住まいかたとヤングケアラー支援のこと

 

地域の居場所「オープンリビング けやきの見える家」(杉並区西荻北)にはおおぜいの高齢者が集う 10/22

高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯が急増しています。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるには、居住の場の確保に加え、見守りを含む生活支援を一体的に考えていくことが重要です。

 都が今年度から、このような取り組みを行う区市町村を支援する「生活支援付すまい確保事業」を実施しています。その第一号は杉並区で、不動産関係団体や社会福祉協議会などと連携して、アパートのあっせんと入居後の安否確認などを併せて実施しています。

 他の区市町村にも広がることが望まれます。都では地域包括ケアのあり方検討会議が設けられていますが、その議論などを踏まえた都の推進を期待したいと思います。

 これから在宅での看取りの増えることが確実な状況ですが、家族介護に係る問題に目を向けると、在宅で、高齢者をはじめ、障がい者や難病患者などの介護を担う家族への負担は相変わらず大きく、介護疲れやストレスが原因で心中や殺人などが相次いで起きています。

 先日の新聞に、介護殺人を犯してしまった家族介護者の半数が不眠状態にあったという記事が掲載されていました。専門家のコメントとして「介護保険制度は介護する側を支援する視点が欠けている」とありました。同感です。

 介護者の中でも、特に10代から30代で祖父母や父母の介護を担うヤングケアラーの問題は深刻です。介護のために学業が続けられなくなり、就職できない、あるいは内定を返上し、離職せざるを得なくなり介護が終了した後も復職できない場合、容易に貧困に陥ります。

 結婚の機会ももてず、若いがゆえに地域とのつながりがなく、生活経験の乏しさによる困難が多く生じ、新たな社会問題となっています。イギリスではこのような問題解決に早くから着手し、国も自治体も、さまざまな公的支援を行っています。

 家族介護を担うヤングケアラーについて、まずは実態を把握する必要があります。世田谷区では昨年、調査が行われていますが、都としてもこの問題に光を当て、支援策を講じるための実態調査を実施するよう要望しました。