組み体操の安全対策 「ピラミッド」を先生がやってみてはどうか

前練馬区議の菊地靖枝さん(左)、東京シューレの奥地圭子さん(中央)と早大で

前練馬区議の菊地靖枝さん(左)、東京シューレの奥地圭子さん(中央)と早大で

学校は子どもが安全に守られる場所のはずですが、体育の授業や部活動、運動会などの教育活動で子どもが亡くなるような事故が起きています。

中学校の多くで武道の授業に採用されている柔道は、子どもにとって危険が伴うことや、運動会の目玉種目として人気のある組み体操で子どもがけがを負う事故が多発している問題について、杉並区議のときも、都議会でも取り上げてきました。

昨年11月の文教委員会では、質疑の中で、学校の体育活動における安全対策として「未然防止に向けたマニュアルの作成」を求めました。このとき「事故の未然防止を徹底していく」と型どおりの答弁を返した都教委でしたが、その後、有識者や学校関係者、保護者代表などで構成される「体育的活動における安全対策検討委員会」が設置されることになりました。

1月22日に開かれた第1回検討委員会を傍聴したところ、運動会の組み体操については、日本女子大教授の坂田仰委員長が「安全が前提」としながらも「(事故が起きて)裁判になるから中止にするというのでは後ろ向き」と述べ、継承していく方向で検討する考えを示しました。

3月中にその結果をまとめるとのことですが、一方で文科省が組み体操の安全対策に乗り出す方針が2月10日に新聞報道され、3月末までに各教育委員会に対策を求めるとしています。

ところで、昨年9月に起きた大阪府の中学校での組み体操事故の瞬間をネット動画で見ることができます。ピラミッドが崩れるようすから、内側の生徒が背中に載った重さのせいか手足の位置が合わなかったのか、こらえきれずにバランスの域を超えたのがわかります。

どんなに恐ろしかったでしょうか。組み体操を指導する先生たちは、この経験をしてみるべきではないのか。一度でも自分でやってみることで、何をどう指導すればいいのかがわかるのではないでしょうか。

そのうえで、「こんなに危ないことを子どもにさせるのはやめよう」という結論を出してほしいと私自身は思っています。大阪市教委や愛知県教委など、ピラミッドの禁止や段数制限を決めるところもある中、都検討委の議論のゆくえに注目しています。