ほどほど耐震のすすめ ~予算特別委員会の質疑より5
1995年の阪神・淡路大震災では、亡くなった人の9割は建物の倒壊などによる圧迫死で、さらにその6割は窒息によるものだったことが1月放送のNHKスペシャルで報道されました。
建物が倒れて瞬時に亡くなった人は案外少なく、大多数はがれきの下で、ある程度の時間は生きていた。ということは、窒息しない程度の空間が確保されていれば死なずにすんだということであり、そのための耐震対策が重要です。
しかし耐震対策はお金がかかることであり、経済力の乏しい高齢者などはあきらめてしまっている人も多いのが実情です。大切なのはとにかく生き残ること。そのために何をしたらよいのか。
杉並区民によるまちづくり活動で「ほどほど耐震の会」というグループがあります。震災にあっても何とか生き延びよう、完璧を期するよりたとえ「ほどほど」でも改善すべき、という考え方に立ち住宅の耐震改修などを促す啓発活動を行っています。
東京都は地震が発生したときに命を守るため、部分的な耐震改修や耐震シェルターなど所有者が気軽に取り組めるような方法について普及を進めることが必要と考え、認識を問いました。
これに対し、「震災時に住宅の倒壊から人命を守るためには、建物全体を耐震補強することが重要だが、仮にそうできない場合でも、倒壊時に一定の空間を確保する対策が有効」との考えを都も示しています。
また都は、「部分的な改修にも活用できる工法や耐震シェルター等の装置について、安価で信頼できる事例を選定し、パンフレット等で情報提供するほか、耐震キャンペーンにおける展示会や、区市町村が開催するイベントなどで、実物に触れることができる機会を提供している」と言います。
東京都が「ほどほどでよいから生き残るためにできることを」というメッセージを発信することが重要だと思います。