医療的ケアが必要な子どもへの支援をケチるな ~11月8日の文教委員会<教育庁>事務事業質疑より②

都政報告会「豊洲市場問題を考える」青山やすし元副知事(左)そね文子区議と

都政報告会「豊洲市場問題を考える」青山やすし元副知事(左)そね文子区議と

今年4月に障害者差別解消法が施行され、だれもが地域の学校でともに学べるインクルーシブ教育実現への期待がふくらんでいます。たんの吸引や経管栄養など医療的ケアの必要な子どもが学校で学ぶための支援も求められています。

都教委は、都立特別支援学校の医療的ケアが必要な児童・生徒に対して看護師を配置するなど支援を行っていますが、医療的ケアの必要な子どもは地域の公立小中学校にもいます。

都立高校にはそのような生徒はいないとのことですが、都内公立小中学校の医療的ケアが必要な児童・生徒は、文科省が2016428日付で公表した「平成27年度特別支援教育に関する調査」によると、201551日現在、小学校に37人、中学校に3人在籍しています。

地域の学校で受け入れるには、それなりの体制を整備する必要があり、財政支援を自治体が求めるのは当然です。文科省の「インクルーシブ教育システム推進事業」はそのための補助事業で、今年度の交付要綱によれば国と都が3分の1ずつ補助を出すしくみです。

都が3分の1補助を出せば国も3分の1を補助することになっていますが、今年度、都がこの事業に取り組まなかったので、区市町村への補助はありませんでした。その理由を文教委員会で質問したところ、次のような答えが返ってきました。

20159月に文部科学省により、補助金概要の説明は実施されたが、区市町村補助に対する所要経費を見積もるために必要な補助内容や補助要件などに関する補助要綱案が提示されたのは、20162月であり、2016年度予算への計上を行うことができなかった。」

文科省の提示が遅かったからだということですが、補正予算など、実施する方策はあったと思います。東京都が事業に取り組み補助が実施されれば、これまではあきらめていたけれど、ケアを受けながら地域の学校に通える、という子どもが増えると思います。 

来年度の「インクルーシブ教育システム推進事業」は、国の概算要求によると、医療的ケアのための看護師を拡充すると言います。それなら都教委は手を挙げてほしいと思い質問すると、答弁は次のようなものでした。

「この事業は2019年度以降、区市町村から直接申請を受ける直接補助の方式に切り替える方向で検討を進めていると聞いている。当該事業についての、区市町村立学校にかかる経費は、設置者である区市町村が負担することが原則であると考えている。」

がっかりするような消極的な答弁です。国がなぜ間接補助を1年だけでやめて直接補助にするのかわかりませんが、地域自治体からは介助員や看護師などの配置に対する補助を求める声が多く上がっています。国のインクルーシブ教育システム推進事業に都が手を挙げれば、国と都が3分の1ずつ負担し、自治体も3分の1の負担ですむのです。

より多くの子どもが地域の学校に通学することができるよう、都は積極的に取り組むべきです。対応を強く求めました。