【外環】総工費は倍増、費用対効果ゼロの道路建設は妥当か

2003年、外環道のインターチェンジ(IC)を杉並区内に建設する国の計画に対し区が「反対」の意思表明を行う、ということがありました。その結果、区内にICは造られないことになりましたが、一部を地下トンネル道とする「本線」も、同じルートの地上部街路「外環の2」建設も事業化されました。

事業化が決まった2009年、総工費として示されたのは1兆2,820億円でした。外環道の全長は16.2㎞なので、1メートル当たり約8,000万円です。環境の激変は必至、人口減少が明らかな21世紀にそれほど高額な道路が必要とは考えられない、とこの計画には異議を唱えてきました。

当初額も相当な高値ですが外環の事業費は2016年に見直されて約1兆6,000億円になり、今夏、驚いたことにさらに2兆3,575億円にまで膨らんでしまいました。なんと当初の1.8倍です。国交省が7月末に開いた事業評価監視委員会で明らかになりました。

工事に着手してみたら現場の地質や地下水の状況から工法の変更が必要となり、軟弱地盤の対策に工費が増大したそうです。難工事であるため完成までにかかる年数が増えたことも原因だそうで、沖縄県辺野古の基地建設と似ています。

9月26日に開かれた外環オープンハウスの会場の一角で地域住民による集中質疑が行われ、事業費増となった問題が投げかけられると「民間ならゼロから見直す話だ」という声が上がったのは当然と思いました。

9/26西荻南集会所で開かれた外環オープンハウス。杉並区内ルートの地域模型図が展示される

今回の評価監視委員会では、費用対効果を表す「費用便益比」も見直しがされ、従来1.9とされてきた数値は1.01にまで低下しています。効果が1.01倍しか見込めない事業に莫大な税金を投入することは妥当なのだろうか。とてもそうは思えません。