子育て応援券の成果と課題

地域の子育て力は上がったか—議会質問より⑤

「杉並区子ども・子育て行動計画」は、次世代育成支援対策推進法にもとづく行動計画として2005年に策定され、いま計画見直しの検討中。先だって保護者対象のニーズ調査の報告がされたところで、質問にとりあげました。

この間の社会情勢や子どもと子育て環境の変化についての質問に対し、区は「ここ1年で未就学児の急激な増大と、働き方の多様化による新たな保育ニーズが生じている」と答えました。たしかに、昨年4月の待機児数は数字上ゼロになったにもかかわらず今年は3ケタに増え、しかも杉並だけではないようです。「働き方の多様化」が具体的にどういうことか、調べてみることにしましょう。

杉並の子育て支援策の目玉商品、子育て応援券事業について、スタート後1年以上経過したところで、明らかになってきた成果と課題をたずねました。

区の答弁は、「子育て中の母親が児童館のサポートを受けてグループを作り応援券事業者になったこと、従来は子育てに関連のなかった団体が事業者になって子育て支援活動を始めたことなどが成果」と。課題としては、事業者が急増し、応援券に対する理解度やサービスの質に差が出てきていることをあげました。

私は課題について、親子参加プログラムとして英語教室や音楽教室、スポーツ教室、幼児むけ学習塾なども対象になるなど、子育て支援の趣旨が拡大解釈され、当初の方針から逸脱しつつある面も見られることを指摘しました。

区は、子どもの習い事はダメだが親子企画ならOKという立場です。親子いっしょに楽しむプログラムなら趣旨に合致する、と。これについては若干異論もあるところですが、今はコメントを控えます。

区の「ひととき保育」では、応援券のおかげで子どもを預けることが容易になった分キャンセルも多く、本当に必要な人がサービスを受けられない状況が生じていました。この対策として、運営事業者による連絡会が開かれ、情報交換するなかで柔軟な対応が図られている由。

0歳から2歳まで一人当たり6万円、3歳から5歳まで3万円という決して少なくない額のチケットが配布される応援券は、他の世代から「不公平」との声がときおり聞かれます。子育て世帯が他のすべての世代から温かいまなざしが向けられるよう、そのしくみをつねに検証する必要があります。

写真 「生き物調べ 報告会」で 右は講師の木村幸一郎さん 9/23