重度の精神障がい者の在宅生活を支えるACT-K

2012年8月11日 00時29分 | カテゴリー: みんなの健康と福祉, 憲法・平和・社会

生活者ネットの「精神保健・労働」チーム視察より③

ACT-K主宰者の高木俊介さん

3か所目の視察先は、京都御所すぐ近くの「ACT(アクト)-K」へ。在宅の精神障がい者とその家族を対象に、多職種でチームを組んで訪問型(アウトリーチ)の医療サービスを行う民間組織です。障がいの程度は重度に限ります。

ACT(包括型地域生活支援プログラム)については昨年の一般質問でも言及しました(こちら)が、全国に拡がる実践のなかでも京都のACT-Kは知られた存在です。なぜなら精神科医、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、薬剤師…などの専門家が24時間365日体制を組むというだけでも大変なことですが、ACT-Kは「財政的に成功している」ことで注目に値するからです。

毎週金曜日に行われているスタッフ会議の場に今回、同席させていただきました。この見学は人数制限があり、「ここで見聞きした個人情報は他言しない」という趣旨の誓約書に署名を求められます。見学費が1万円というのも高額ですが、それだけの価値のある体験でした。

はじめ人がガラガラだった建物に、会議が始まる4時にはスタッフたちが活動の現場、利用者のもとから次々と戻ってきます。メンバーは約20人。平均年齢30代といい全体に若い感じです。主宰者であり精神科医の高木俊介さんが、最近おきた「殺人罪に問われた発達障がい者に対し裁判員裁判で検察側の求刑より重い刑が宣告された」という事件について報告し、会議が始まりました。

この1週間の利用者の変化、おきた事件について情報共有し、いま困っていること、例えばごみ屋敷の住人らしい利用者の引っ越しにあたって犬のウンコの掃除に人手を募集するとか、大学病院を突然退院させられそうな事例の対応策の相談を投げかけます。壮絶な現実が垣間見えます。

精神の病を「施設から地域へ」という標語の趣旨は、医療中心、提供側中心だった従来のあり方から当事者ニーズ中心に組み立てることであり、支援者がサービスの質を変えること。サービスのトップは家族の支援。――それを現実に実行することがどういうことなのか、少しわかった気がしました。

ドクターが全然偉そうに威張ってなくてスタッフがみんな平等でチームの仲が良く、どの顔もいきいきと誇りを持ち、この仕事にやりがいを感じているように見えたことは、前日に訪れた三重県のYMSC-MIEと共通していました。