6月29日をもって任期満了となった安本ゆみ氏と7月に突然「一身上の都合により」辞表を提出した大橋辰雄氏の後任として提案されたのは、60代の田中奈那子、40代の對馬初音(つしまはつね)氏。いずれも、母親として公立学校でのPTA活動を経て地域の役職を担ってこられた女性です。
質疑応答ののち、次のような賛成意見を述べました。
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私たちはこれまで、教育委員の選任に際して「いちばん関心があるのは、その方が子どもの権利についてどのような識見をお持ちかということ」だと繰り返し述べてきました。
一昨年の教育委員人事案件において私は「『ひとづくり』というような、社会に役立つ子どもをつくるという考え方ではなく、子どもが学ぶ権利、遊ぶ権利、その子らしく成長する権利、意見を表明する権利などについて、十分に理解し、それらが一人の例外もなく保障されるように尽力くださる方かどうか。それが杉並の教育行政の要である教育委員となる方の最も重要な資質であると考えます」と申しあげ、「それを判断するだけの情報を持ちえていない」ということを理由の第1にあげて反対としました。
今回提案された方がその件に関してクリアできているのかといえば、残念ながらそうではありません。相変わらず私たちに示される情報は少なく、候補者とされた根拠も不確かです。
それでも今回、賛成とするのは、女性であること以上に、提案されている区長が「教育行政の公正中立」を重要視されていることが確認できたからです。前区長の口から教育行政に関して「公正中立」という言葉を聞くことはついぞなかったことと考え合わせると、このひと言は貴重です。また事務方のサポート体制がとられることも確約いただきましたので、この提案を信頼してみようと考えるに至りました。
いただいた資料を拝見して、田中奈那子氏は杉並の地域で暮らし、子育てしてこられた、そしてPTA活動や青少年委員の経験から、小中学校の抱える問題や地域の子どもたちのようすをよく見てきておられると思います。ふつうの母親の感覚や良識をもって、教育現場の声が行政に生かされるよう努めてくださるであろうと期待も寄せているところです。
ただし、首長だけが選任権を持つ現在の法制度に対する不満は、やはり今回も申し上げなければなりません。区長の行政権限から独立した合議制の執行機関として設置される教育委員会が、構成員である委員は区長によってのみ選ばれる、というシステムに矛盾を感じずにはいられません。
質疑の中で述べたように、準公選制の採用をぜひ検討いただきたい、と再度申し上げ、区議会生活者ネットワークの賛成意見といたします。