反対意見まで述べておきながら採決に応じず退場したのは「民主主義のルールに反する行為」だという、他会派よりなされた発言への異論です。
まず、あの提案そのものが、多くの区民が望まないだけでなく、議員の中でも「反対のほうが多い」ものだったこと。議員個人一人ずつにたずねれば、「賛否が分かれる」というようなレベルのものでなかったことは、関係者には周知の事実です。
だからできることなら提案自体を回避したかった、そのために事前に考えうる手立ては講じました。しかし議会運営委員会での状況からみて議案は内示の通り上程され、「賛成多数」で可決されることは明らかでした。
ところが採決時に、杉並区議会最大会派である公明党がこぞって退席し始めたため、生活者ネットワークとして反対の意思を表明したうえでの、抗議の行動として、同時に退席したわけです。同様に退席した他会派の議員とあわせ、合計22人が議場を出て行きました。
議場に残ったのは22人。定足数24人を満たさず議会は成立しなくなったため、議長が休憩を宣言し、私たちは流会になることを期待しました。だから休憩の後に議会を再開させようとした議長に対し、少数会派の6人で「議会を再会させないでほしい、たとえ再開されても出席しない」つもりであることを伝えました。
しかし、一度は議決を避けた公明党が1時間後には議席に戻って「賛成」に転じ、全員賛成による可決という結果になりました。まったく残念です。
それにしても、と思わずにいられません。あの時点での議会の総意は「反対多数」だったのだから、議長がもし、議会を代表する役割として「この案件は採決不能。提案し直せ」と提案者である区長に直訴してくれていたら。議会を区長の提案追認機関でなく区民の意思が反映される場に、という意識があったら。
民主主義とは、市民の総意が正しく反映されることではないのでしょうか。
写真 採決直前に続々と退出する議員 11/26区議会議場