高野孟さんが書いた民主党結成時の「理念」

96年の初心には戻れないのか

東京・生活者ネットがジャーナリストの高野孟(はじめ)さんを呼んで国政の話を聞く、というので歌舞伎町の事務所に出かけました。高野さんには鴨川の「里山帰農塾」に参加したときにお目にかかっています。

「安倍辞任の真相は拉致問題の行き詰まりが原因」という高野説は、びっくりしたけれど言われてみれば確かにそのとおり。「地域には独特の課題があるのだから地域政党はこれからますます必要」と言った部分をほんとうはもっと詳しく聞きたかった。・・・でも、ここでは当日の話とはちょっと別のことを書きます。

聞けば高野さんは96年、最初の民主党結成を仕掛けたひとりだったらしい。鳩山・菅の二人代表制を提案したのも、綱領的な文書「理念」を執筆したのも高野さんなのだそう。でも2年後には旧民社党系が合流して民主党は再結成となり、その時点に「理念」は廃棄されてもう自分のPCの中にしか残っていない・・・。

と言っていたのが気になって高野さんのHPの中を探索したら、ありました(旧民主党基本理念)。市民政治の理想を格調高くうたった、胸に響く文章です。

「政治の主体としての『市民』は、自分たちがよりよく生きるために、そして子どもたちに少しでもまし未来をのこすために、自ら情報を求め、知恵を働かせ、別の選択肢を提唱し、いくばくかの労力とお金をさいてその実現のために行動し、公共的な価値の創造に携わるのであって、・・・(中略)」と自立した市民像を描き、

議会制民主主義に対して次のように期待と信頼を寄せます。——「意見の違いこそが創造的な議論の発端であり、それぞれが知的イニシアティブを競い合うことで新しい合意をつくりあげていく、そのプロセスを大事にしたい。」

それなのに、現在の民主党はどうだろう。議論も合意もなく「大連立」しようとして失敗し「辞任」を公言した小沢氏をよってたかって慰留するまで、そのどこにも民意への配慮はなかった。96年の初心に戻ることはもうできないのだろうか・・・。

写真 学習会の帰り道、新宿区役所前で 左は藤田愛子(11/21)