入居一時金が400万円と比較的安いことや、経営母体の前身が精神科の病院であるため医療システムが充実しているといわれ人気の高い施設です。
すべての窓が赤いゼラニウムの花で飾られた北欧風の外観、内部は壁という壁に世界の名画が(もちろん複製ですが)かけられて美術館のようです。1階には美容院があり、グランドピアノが置かれたホールで毎月1回プロ奏者を招いて開かれるコンサートには入居者がおしゃれして聴きに来るのだとか。
入居時に何千万円も支払わなければならない老人ホームが多いなか、ここはリーズナブルで(とは言っても月々の負担は20万円以上かかるのですが)、しかも高齢者の誇りと自主性が尊重され心豊かに暮らせる暮らしを提案していて、待機者がほぼ100人というのもうなずけます。
見学を終えた帰りのバスで参加者に感想を聞きました。
「義母の入居施設をほぼ決めたつもりだったのに、新しく施設を見るたびにこっちもいいかな、と気持ちが揺らいでしまって」とTDさん。「この次は千葉にある別のタイプのグループホームを見てみたい」と自分の入居先を探しているTZさん。「いずみ、デンマークINN、どっちもすばらしいけれどお金が・・・」と移送サービスの事業に関わっているKさん。「私だったら地域で人生の最後までいたい」と栄養士として病院に勤めている若いHさん。
住まいを考えることはすなわち、くらしかたを考えること。5人にひとり、4人にひとりが高齢者の時代には、介護のニーズが増える分、暮らし方の提案メニューにもさらに多様さが求められるようになるでしょう。
施設にせよ自宅にせよ、老いの日々をどう暮らしたいのか家族の思いを正しくとらえ、また自分自身はどう暮らしたいのか、経済状況を含めて見つめることから始めたいと思います。