文部科学省の検定結果、とくに「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した扶桑社の歴史・公民教科書を今回も合格させたことに対する抗議や怒りは「理解できる」という声は日本にさえあります。私もそう思うひとりです。
昨年、都立白鴎高校附属中学の歴史教科書として都教育委員会が採択した扶桑社版は、現在同校で使われています。私は白鴎高校の卒業生として同窓生とともに「扶桑社を選ばないで」の要請と採択後の抗議を都教委に向けて行ないましたが、今度の改訂版も本質的に内容は変わらないとわかり、今年も再び採択されそうな状況を黙って見ていることができなくなりました。
都立中高一貫校は、白鴎に続いて来年両国、小石川、都立大附属の3校で開設されます。その付属中4校で使う教科書が、今年8月までに都教委によって採択されることになりますから、もしこれらすべてに扶桑社が、ということになれば、他の自治体の教育委員会におよぼす影響も無視できません。
先の3校にも危惧を抱く卒業生がきっといるはずです。白鴎をふくめて4校まとまればより大きな力として都教委に意思を示すことができるのではないか。「白鴎有志の会」(これは略称。正式名称はもっと長い)はそう考え、先の3校卒業生に「一緒に声を上げませんか」の呼びかけを始めました。
そして、同様の心配は杉並区においてもしかり、です。昨年秋以降、区内各所で起きている動きやいろいろなエピソードが不安を募らせます。
要は、子どもたちに何を学んでほしいか、という問題です。全ての子どもが、その子らしく成長するために、中学生時代に何を学びどういう力をはぐくんでほしいか。その視点から教科書を考えてみよう、というのが5月13日の学習会(上の「お知らせ」欄を参照)の趣旨です。お問い合わせ・参加希望はすぎなみ・生活者ネットワークまでどうぞ。