批准した国は条約がどのように守られているのかを報告する義務があり、日本はこれが2回目の報告と審査になります。1回目の報告と審査は96年と98年にそれぞれ行なわれ、このときにも約50項目の勧告が日本政府に対し出されています。それがどの程度生かされたのか、つまり勧告されたことが改善されたのか、今回の審査では問われたことになります。審査にあたっては、政府による報告書のほかにも、ユニセフ、WHO(国際保健機構)、ILO(国際労働機関)、NGOなどからの情報も採用されます。
勧告について、子どもの権利の専門家、平野裕二さん(写真)からお話を聞く機会がありました。「杉並に子どもの人権を守るしくみをつくる会」が7月から05年3月まで予定している連続学習会「国連子どもの権利委員会の勧告を生かそう」のいわばプレイベントとして開かれた集会でのこと。
平野さんは、今回の審査でNGO報告にあたったばかりか、これまでの子どもの権利委員会の審査を10年以上にわたって欠かさず傍聴し、講演・著作活動をとおして発言や提言を続けています。ちなみに平野さんが運営するホームページには、この分野に関して国際的な動向から日本国内の一地方自治体での施策に至るまで、豊富で詳細な情報が満載。関心のある方には必見です。
平野さんによると、今回の勧告での最大の特徴は「全体として『権利基盤型アプローチ』の必要性が強調されていること」であり、どうやら日本が前回の勧告を真摯に受け止めて取り組んできたのか疑問視せざるを得ないようです。
その内容については次回で。
平野さんのサイトはこちら:
http://homepage2.nifty.com/childrights/index.htm