「いじめ」はなぜなくならない?――「子どもの権利」に即して考える
「すぎなみ夜間塾」がいじめをテーマにパネルディスカッションを開いた(こちら)2日後の12月22日、今度は「子どもの権利条例東京市民フォーラム」がやはり「いじめ」を採り上げたシンポジウムを開催しました。
“いじめ”はなぜ繰り返されるのか―1986年に中野区立中学の男子が「このままじゃ生きジゴクになっちゃうよ」と遺書を残しいじめを苦に自殺してから4半世紀。この間、教育界は総力を挙げて対策に取り組んできたのではなかったのか。なぜ、という問いを「子どもの権利」に即して考えようとする試みです。
基調講演は「フォーラム」代表で早稲田大学教授の喜多明人さん。いじめを「抗しがたい関係のなかで生じるストレスを弱者に向ける行為」と定義し、管理教育が子どもの「自治力」を衰退させた、と指摘します。そしていじめ問題が解決しない原因は「子どもの権利の視点の欠落」ときっぱり言い切りました。
いじめ問題を「子どもの権利」に即して考えること。教育行政ではこの視点が語られることがありません。先の「すぎなみ夜間塾」でもそうでした(いい企画でしたが)。なぜでしょうか。日本は1994年に子どもの権利条約に批准しているのに。
この企画はサブタイトルに「子どもたちのSOSと子どもオンブズの役割・活動」とあり、目黒区、東京都、世田谷区で子どもの権利擁護活動にかかわる人たちがゲストに招かれ日ごろの活動を報告しました。
世田谷区では2002年に「子ども条例」が施行されていますが、今年改正が行われ、「子どもの人権擁護機関」すなわち子どもオンブズが設置されることになりました。うらやましいことです。子どもの権利の視点から「問題あり」とかつて言われていた世田谷の条例ですが、後からこんなふうに内容を充実させることもできるのだと教えられました。
子どもの力だけで解決できないのが子どもの特殊性、と「フォーラム」事務局長で東洋大学教授の森田明美さん。そして「子どもを救済の対象というのでなく解決に子どもがかかわることでエンパワメントすることが重要」と、山梨学院大学教授の荒牧重人さん。
要は、支援する大人の側に「子どもの権利が入っている」かどうか、なのだと思います。