ギリシャを見ればわかる オリンピックの経済メリットはない

        ギリシャの古代遺跡にて

夏の休暇で3日間ギリシャに行ってきました。観光が目的ですが、経済破綻したギリシャのことをこの機会に実際に見てみたい気もちもありました。EUの求める緊縮策に反対する市民のデモが過熱化したと報道されましたが、その後暴動が頻発したということはなく、観光シーズンの旅行者にとっては問題なしでした。

 ただ観光客なりに感じたことがあります。アテネの市街地を歩いてすぐに気になったのが、物乞いの人とそれより数の多い野良犬の存在です。気がつくとそこにも、ここにも。どれも成犬、おそらく老犬で一様にぐったりと生気のない目をして、吠えるでもなくじっと座るか横たわるかしています。

 土地の人に聞くと、経済悪化とともに増えてきたのだと。10歳くらいの男の子が物乞いをしていたのは、胸にこたえました。大人と同じようにプラスチックのカップを手に地べたにひざをついていました。

 地下鉄で切符を買おうとすると、男性が何か言いながら近寄ってきて手を出しました。麻薬の常習者がクスリ代をせびっているのだそうです。この国の18歳から26歳の若者の失業率は6割を超え、そのために親は子どもを外国に働きに出すことが一般的だといいます。

 一方、シリアやアフガニスタンから膨大な数の難民がこの財政難の国に流入しています。ギリシャは島が200以上も集まってできており、そのうちの離島に流れ着いているので観光客の目には入りません。でも物乞いの中にいるのかもしれません。

 それにしても。2004年にアテネオリンピックを開催したギリシャにとって、オリンピックによる経済メリットはなかったのでしょうか。当時インフラ整備に相当力を入れたはずなのに、歩道の路面のでこぼこなのには驚きます。「負の遺産」の話も聞きました。

 経済対策が国民投票にかけられたとき、さすが民主主義発祥の地と思いましたが、考えてみればなぜユーロ導入のときにこれをやらなかったんだろう…。

 あまりにも重くおおきな課題を抱えたギリシャですが、戦争さえおこさなければきっと再生できるはずです。歴史がそれを教えてくれています。とにかく平和でさえあれば。日本がいま、あぶない状況にあるからこそ強く思います。