2020年大統領選挙で進むか米国の分断 ~進藤久美子さんの講演より
米国の大統領選挙について以前にもお話しいただいた進藤久美子さん(東洋英和女学院大学名誉教授)に、今年の選挙をめぐる状況について「杉並ネットお話サロン」で話していただきました。
必然的に「トランプはどういう大統領か」という話になり、①実業界出身であり②軍隊経験がなく政治的役職についたことがない③虚言によってなった大統領であり続けている、という異端性を指摘。
大企業・富裕層優遇と徹底した保護貿易などの米国ファースト政策により未曽有の好景気を生み50年ぶりの低失業率3.5%を実現した経済実績。――ところがコロナパンデミックにより2020年度第2四半期(4月~6月)のGDPは32%下落、年間失業率は25%に達する予想がされるなど、不調をかこつ。
25%の失業率は1933年大恐慌時の24.9%に匹敵し、経済不況時の大統領選挙は現職不利という前例2人(1981年第2次石油ショック時のカーターと湾岸戦争後の1993年景気後退時の父ブッシュ)と同じ運命をたどるか。
それを心から望む進藤さん(私も)ですが、だからトランプ政権を1期で終わらせることができるかと言えば、「そんなに甘くない」と言います。大統領選挙は人気投票では決まらない。
2016年のときがそうでした。あらゆる情報ソースも調査機関もヒラリー・クリントン断然有利と明言していたのにトランプが勝利した現実。
いま米国で盛り上がるBLM(黒人の命だって大事だ)運動のルーツとその背景もたどりながら、今度の選挙で米国が伝統的に(国内外問わず)維持してきた協調主義、民主主義を取り戻すことができるのか、それとも分断をさらに進めることになるのか、予断を許さない、と進藤さん。
11月の投票日までの間に人気上昇を狙ったトランプが軍事行動という禁断の手を繰り出すことにならないか。「トランペット(トランプのペット)」と揶揄された安倍氏の継承者を自認する菅首相がどのように対応するのか。気になって仕方ありません。