「えん」がユニークなのは、不登校の子どもの居場所「たまりば」を12年間続けてきた民間NPOが、市の委託により運営にあたっていることと、教育委員会の施設でありながら「学校復帰を目的にしない」と堂々とうたっていることでしょう。
「えん」で子どもは仲間と一緒に何かするもよし、ひとりでいるのもよし、1日をどう過ごすか自分で決め、居場所が確保されることで自己肯定感を取り戻してゆくことが目的です。当初は定員30人を想定していましたが開設して4ヵ月で90人が通うようになり、ひきこもりやLD児をふくめ年齢の幅は7歳から35歳におよびます。
最近不登校児の「受け皿」的なシステムが杉並でも設置されていますが、当事者の子どもにとってそれが救いになっているのかどうか、検証が必要です。もしなっていないとしたら何が違うのか。NPO「たまりば」代表の西野博之さんの言っていた「子どもに向けるまなざし」という言葉に答えのヒントがありそうです。
そのまなざしを社会のしくみに生かすには、現場の活動と行政が協働する必要があり、そのときに基本的支えとして区の条例がやっぱり必要だと思うのです。