女性、高齢者、福祉、教育などの分野を中心に評論活動をされている樋口さんは、「高齢社会」という言葉がいまほど一般的でなかった20年以上前に「女性の自立と豊かな老後が両立する社会の創造を」として「高齢社会をよくする女性の会」を設立しました。以来代表を務め、政策提言をされています。
03年の都知事選挙では初の女性知事を目指してチャレンジし、私たち生活者ネットワークもその実現を願って応援したことは記憶に新しいところです。
この日のお話によれば—社会の基本は人口動態によって決まるから、人口予測により日本の将来像を予想できる。2050年には65歳以上が現在の倍、39%を占めるようになり、そのとき平均寿命は男81歳、女89歳。つまりおばあさんが多い! 21世紀は「おばあさんの世紀」と捉えるべき。
そのとき健康なおばあさんが多いかどうか、外に出て行くおばあさんが多いか家にじっと引きこもっているおばあさんが多いか、リッチが多いかプアーが多いか、それによってこの国のありようが左右するのだと。
樋口さんの現状分析は、自身の体験に基づくからこそラディカルで的確です。だから、それなら自分は21世紀の元気なおばあさんをめざそう、とハッパをかけられた気持ちになったのは私だけではなかったと思います。
ところであるインタビュー記事から、樋口さんと私には共通の趣味があることがわかりました。それはオペラ。「オペラを聴くと血の巡りがよくなり生きる意欲につながる」という樋口さんのオペラ論には私も同感です。いいオペラを観て聴いて、泣いたり笑ったり、幸福感に浸ったり。そういう豊かな時間の持てるおばあさんになりたいなあと思っています。