輸入野菜の安全を考える

区が実践する食のリスクコミュニケーション

杉並区では食の安全を確保するための取り組みとして、2ヵ月に1度、消費者、事業者、行政が集まって意見交換会を開いています。これは食の安全確保に必要なしくみとされる「リスク分析」の3つの要素のひとつ、リスクコミュニケーションの実践として私は評価しています。

ほかの2要素は、リスク評価、リスク管理で、それぞれ科学者、行政が行なうものですが、消費者がこれらの情報を得て理解を深めるためのリスクコミュニケーションは、身近な自治体でこそ推進するべきと考えます。

杉並区で3年前から開かれて恒例となっている「食の安全を考える討論会」もリスクコミュニケーションの試みで、10月29日には輸入野菜の安全をテーマに、講演とパネルディスカッションが杉並保健所で行なわれました。 

輸入農産物で気になるのは、加工用の原料として入ってくる遺伝子組み換え作物と、収穫後に散布される農薬(ポストハーベスト)の問題、そして日本が大量に野菜を輸入している中国で深刻な土壌汚染が進行していることです。

中国産の冷凍ほうれん草から基準を超えた残留農薬が検出されて問題になりましたが、責任の一端は日本にあります。自給率の低すぎる日本の農業事情が他国、とくにアジアの生産現場にゆがんだ形の影響を与えています。

ポストハーベストの問題が起きるのは、生産地と消費地が遠いからです。長距離を長時間かけて輸送するため、その間に傷むのを防ぐのに必要になってしまう。それはまた輸送のエネルギーを大量に消費することにもなります。

先の討論会では、井草でおいしいトマトをつくっている農業者がパネリストとして参加し、消費者と顔の見えることが生産の意欲を支える、と述べていました。また住宅地がすぐ近くにあることで農薬軽減せざるをえないのだそうです。

だからやっぱり、政策として地産地消をめざすべきだし、身近な生産現場の確保のため都市農業にもがんばってもらわなければならないのです。

写真は、生活クラブまち北代表 田中みつ子さんと