2006年の初めに寄せて

子どもが死なないまちにする

2005年は日本の人口が減り始めた年として記憶されることになるでしょう。これから先はもう、かつてのように人口が増えることはない。でもそれ自体をあまり悲観することもないのではないか、という考えに私は賛成です。

親の老後のために、家系の繁栄のために、税金を納めるために、お国のために子どもは生まれてくるのではないのだから、たくさん生まれてくれないと困る、というのはそもそも勝手な大人の言い分だったと知るべきなのです。

生まれる子どもの数が少ないことを嘆くのはやめて、生まれてきた子どもが、病気や事故や災害にあっても何とか生き延びて100パーセント死なずに大人になれるような社会をめざすべきだと思います。

子どもが死なないまちにする。

元気でなくても、健康でなくても、生きていればいいじゃないか、と言うと誤解されそうですが、たとえばベッドに横たわったまま自力で呼吸すらできない人でも、家族にとっては生きていることそのものが希望、とする価値観があるのではないでしょうか。

国の豊かさを示す指標のひとつに、乳幼児の死亡率の低さがあったと記憶しています。豊かさは、幸福度と言い換えてもいいと思います。乳幼児の死亡率もちろんゼロ、17歳までの子どもは死なない。そんなまちがあったら、すごいじゃないですか。子どもの死は必ず防げるもの、とまず定義してしまうのです。

そのための具体策を考えていったら、社会のあらゆるシステムの見直しを迫られることになるでしょう。2006年を、その一歩を踏み出す年にしませんか。