でも杉並区(東京8区)では、野党が協力して議席獲得のため、社民党の保坂展人氏が世田谷から地盤を移して立候補することになり、生活者ネットワークも保坂さんの推薦を決定。12日は西荻窪駅での遊説に初めてご一緒しました。
半世紀に一度あるかないかの、政権交代がかかった選挙。小異は当然のこととして認めつつ、大同で力を結集させたい!と草の根の動きが始まっています。この日も、人権や平和問題で活動する人たちがボランティアで集まっていました。
夜は、「憲法ひろば・杉並」と『週刊金曜日』共催の『靖国』上映会へ。自民党の国会議員が妨害に動き全国で上映中止に追い込まれたのち、いまでは市民の運動で各地に上映の場が広がっている、問題のドキュメンタリー映画です。
そう、これは確かに問題作にちがいありません。何しろふつうじゃない。撮影からして、カメラの持ち方がまるで素人のように不安定でぶれる。こちらの見たい絵は撮らない。映してくれない。口数少ない老刀匠の顔のアップと沈黙を、不必要と思われるほど映し続ける。説明がなく、観る者に忍耐と思考を強いる。
「靖国」は、8月15日という真夏の一日とセットになるとき、喧騒と高揚の非日常空間を現出させます。ひとつには過去を呼び戻す装置であり、男たちの自己表現の劇場であり、崇拝から怒号までを呑み込むブラックボックスであり。
ご神体が「刀」と知らなかったのは私の無知でしたが、この映画で初めて知った人は多いと思う。この映画がもし傑作だとすれば、その点に着目した中国人監督の発想の勝利でしょう。人を殺傷する道具が「神」だと・・・。ただし神社から公式サイトに、ご神体は「神剣と神鏡」なので訂正を、と申し入れがあったそう。
私が共感できたのは、戦没者の遺族が自分の親は靖国に祀られることを望んでいない、自分にとっても精神的に苦痛なので「英霊」リストから外してほしい、と訴える場面。なかでも台湾女性の鋭い怒りの表情は強い印象を残します。
上映の前にあった、「伊藤塾」塾長で護憲論客の伊藤真さんと右翼活動家のトークが聞けなかったのは残念。観客席には保坂さんの姿もありました。