「不可能」の代名詞だった青いバラが現実のものになった、と昨秋ウェブニュースで見ましたが、青いというよりは薄紫。「アプローズ(称賛)」という商品名で1本2,000〜3,000円もして、ところがよく売れているのだそう。
「不可能を可能にする技術がGMなのかもしれない」と近藤さんはつぶやくように言い、「でもそれは『アプローズ』に値することなんだろうか?」と考えさせられ印象に残った導入でした。
分子生物学者、福岡伸一氏の著書『動的平衡』も「青い薔薇」から始まります。GM技術を駆使して鮮やかな青色の薔薇を咲かせようとするFハカセの物語。といっても500字ぐらいの超短編SF風。最後のオチが実はこの本のテーマそのもので、ハカセのミステリーワールドがここに凝縮されています。福岡ファンにはたまりません。
そう、いま福岡伸一がマイブームです。たとえばこんな文章↓
合成と分解との動的な平衡状態が「生きている」ということであり、生命とはそのバランスの上に成り立つ「効果」である。
あるいは『世界は分けてもわからない』から↓
生命現象に「部分」と呼べるものは、ほんとうは実在しない。ある部分(パーツ)がある機能を担っているとする考え方は、鳥瞰的な視点からのマップラバーによる見立てにすぎない。
こんなやり方で一部を切り取って抜粋されることをハカセはきっと嫌うに違いないですが。
生命を機械じかけと信じることにハカセは警鐘を鳴らし、それはズバリ「GM作物は生物として間違っている」という主張以外の何物でもありません。これには深く納得。まえに「GM食品がなぜいけないのか。理由はいくつもある」と書きましたが、これもその理由のひとつです。