若者の雇用問題に若者が取り組む「POSSE」の活動

同世代の視点が現場の実態をとらえる

POSSE理事の川村遼平さんにお話をきく
POSSE理事の川村遼平さんにお話をきく

東京・生活者ネットワークが市民活動を応援する事業の一環で、「POSSE(ポッセ)」というNPOへのヒアリングをすることになり、下北沢の事務所を訪れました。POSSEは06年に学生を中心として設立され、若者をめぐる労働問題について優れた調査活動を行っています。

POSSEを初めて知ったのは2年前の東京・生活者ネットの新年会。活動紹介のブースでPOSSEの出版物を手に取ったときです(こちら)。学生のボランティア活動で制作したという、内容の濃い冊子に感心しました。

いま会員は約200人、「社会人・フリーター」対「学生」が4対6で、週2日勤務の専従職員以外は無給のボランティア。日常的には全国から年間150〜200件寄せられる雇用・労働問題に関する電話相談の対応が主たる活動で、月に1回ほどは下北沢のカフェを借りて啓発活動としてのイベントも開催しています。

設立いらい毎年実施している調査活動が、すごい。18歳から34歳の若年層を対象に、街頭アンケート形式ですがそのときどきの実態をあざやかにとらえ、行政の調査からは出てこないような報告を引き出しています。

たとえば「派遣村」で明けた昨年は「派遣切り」が社会問題としてクローズアップされましたが、彼らの調査によればそのときすでに派遣は切り終わり「正社員切り」、特に新卒の正社員が切られる状況が始まっていたこと。しかもそれは「自己都合退職」と分類され法に則って失業保険も受けられないこと。

自己都合とされる理由にはパワハラやセクハラ、長時間労働、賃金不払いなど明らかに違法と思われる事態も含まれていることもわかりました。

今年予定している調査も、しっかりとした動機に基づく同年代ならばこその、有効な聞きとり結果が期待されます。生活者ネットワークも若い彼らの手法に学びたいし、応援もしていきたいと思います。