環境教育をESDとしてとらえるモデル校の設置を

9月議会の一般質問より②

杉並区版エコスクール事業は、環境教育に重きを置くことに価値があると思います。けれども環境教育が学校施設の改築・改修や省エネ行動と有機的につながってきたとは必ずしもいえません。

2年前の一般質問で採り上げたESD(Education for Sustainable Developmentの略)について再度たずねました。ESDの日本語訳は「持続可能な発展のための教育」または「持続可能な社会づくりのための教育」です。 

小学校で昨年、中学校では今年改訂された新学習指導要領では、環境教育における留意点として「持続可能な社会の構築」が挙げられました。国際的なプロジェクトであるESD推進の動きともフィットします。区の施策体系においても、基本構想、教育ビジョンのいずれでも「持続可能」という言葉がキーワードとして使われており、方向性は一致します。 

杉並区の環境教育を「ESD」という言葉で大きくとらえ直してみてはどうなのか。議会質問の答弁では「杉並区は従前より環境教育にも、国際理解教育にも力を入れ、ESDの考え方は十分反映させてきた」と述べ、「あえてESDという言葉を使って再構築する必要はない」という趣旨の見解が示されました。 

しかし、何か別のジャンルとみなされがちな、人権教育や国際理解教育、伝統文化の教育などが、実は、人と人、人と自然が協調して生きる持続的な社会を形成していくためのESDの学習と捉えると、教科学習も含めた多様な学習が太い線で結ばれ、大きな教育目標を達成する効果をあげると考えます。 

すでにさまざまな教育課題に対し横断的に取り組んできている杉並区であれば、これをESDととらえ直すことで、理解がより深まり、視点を整理して新たな価値観を共有することができると考えます。 

国連で採択された「ESDの10年」の最終年である2014年がすぐ間近に迫った今なお、杉並においてこの言葉自体の認知度が決して高いといえないのは残念なことです。独自のエコスクール事業を推進する自治体として、ESDに積極的に取り組むよう、モデル校の設置を提案しました。