歴史のまち・萩「まちじゅう博物館」~都市環境委員会の視察より③~

吉田松陰の私塾「松下村塾」をバックに

3日目の視察先は山口県萩市。下関からバスで約1時間、前日のうちに移動し、萩市の調査項目「まちじゅう博物館」事業の予習を兼ねて市内の博物館や史跡を見学しました。 

下関と萩の共通キーワードは「歴史」でしょうか。下関では宮本武蔵と佐々木小次郎の合戦で有名な巌流島や壇ノ浦などの歴史物語がまちづくりに一役買っていましたが、萩では吉田松陰と高杉晋作が観光のアイドル的存在でした。 

「まちじゅう博物館」構想のもとに「まちじゅう博物館条例」を制定し、この事業が展開されています。まち全体が屋根のない博物館、というコンセプトは松本市の「まるごと博物館」福岡市西区の「まるごと博物館」とよく似ていますが、萩の「売り」は「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」だそう。 

江戸時代の街並みが残されたのは歴史的偶然もありましたが、景観を残すための保存運動が60年代には始まり、70年代に条例整備がされて現在に至っています。 

江戸時代の武家屋敷の典型が「白い土塀に夏みかんの木」だそうで、この景観が保持できるような政策がたてられています。ただ、個人の家などにどこまで公費を投入できるかは市の財政状況しだい、ということになります。 

文化財の保護に関する事業などは市民のNPOが担っており、萩博物館でガイドをしてくださった人も市民NPOのメンバーだと言い、スタッフの多くが同様のようでした。それらの人たちは一様に高齢で、人材の世代交代がここでも課題ということです。 

宿泊したビジネスホテルの部屋に『萩ものしり博士』という、萩の歴史に関するクイズを集めた本が置いてあったので試しにいくつかやってみたところ、ほとんどできませんでした。でも博士の認定試験に挑戦する市民がまいとし相当いると聞いて、いいなと思いました。