弁護士と子どもたちがつくる「もがれた翼」、演劇のちから
8月23日 (土)、東京弁護士会の弁護士を中心に子どもたちも一緒につくる芝居「もがれた翼2014」をみてきました。「もがれた翼」は、子どもの権利条約が批准された1994年に最初に上演され、それから毎年、内容を変えて上演されてきました。少年非行、児童虐待、いじめ・退学などの学校問題など、子どもの人権にかかわるさまざまな課題をテーマに、弁護士自らが台本を執筆して創作劇に仕立てています。今年は権利条約批准20周年記念をうたっています。
王子の「北とぴあ」さくらホールの1,300席が9割がた埋まっているのにまずびっくり。りっぱな動員力です。お芝居も思いの外、と言っては失礼だと思いますがほんとうによくできていて、「演劇のちから」に心を動かされました。20年積み重ねてきた経験の蓄積が生きているのでしょう。
何より現役の弁護士が子どもの現場に取材してつくった台本、台詞にウソや誇張がない。ちっとも説教臭くない。
今年の劇のタイトルは「ひとりぼっちの子守歌」です。10代で予期せず妊娠した少女(特定妊婦)が不誠実なカレシにも無責任な母親にも頼らず出産し周囲のいろんな人たちに支えられて成長していく物語――。ひとことで説明するとこうなりますが、男性に依存して娘に保護者として向き合わない母親や、自分の性や下着を売って小遣いを稼ぐ少女や、少年少女を使い捨てるように食い物にする大人…というように、きれいごとでない厳しい現実が取り上げられます。
俳優は弁護士や子どもたち。プロではありません。しかしそれだけに、演技の技術に関係なく、彼らの舞台に取り組む姿勢がストレートに伝わってきます。生きにくさに押しつぶされ社会に背を向ける子どもをあるがままに受け止め、あなたが乗り越えるのをいつでも助けるからね、ひとりじゃないよ…と言ってくれている。
この公演は今回、「北とぴあ」のある北区が「共催」という形で協力しています。このような演劇活動を、子どもの人権擁護活動として、東京都も積極的に支援してほしいと思います。