消費者トラブルで泣き寝入りしないための救済のこと ~3月の文教委員会の予算審議より①

東京都の2013年度の消費生活相談件数は約127千件となり、それまでの減少傾向から9年ぶりに増加となりました。高齢者と若者からの相談が増加していること、「健康食品の送りつけ商法」や「インターネット通販」に関するトラブルが大きく増加していることなどが特徴です。

 消費者がマルチ商法、催眠商法などの悪質商法や、誇大広告による商品やサービスの購入でトラブルになるケースは後を絶ちません。そのような消費者の救済を図るため、都や区市町村の消費生活センターの相談窓口が果たす役割は重要です。その具体的な対応について、質問しました。

 都生活文化局の答弁は、「クーリング・オフの方法などの情報提供で消費者が自ら解決するケースもある一方、事業者が消費者との交渉に応じない場合や、取引内容が複雑で交渉が困難な案件については、専門の消費生活相談員が解決のための助言をし、事業者との仲介に入りあっせん等を行い、被害の解決に導いている」とのことでした。

 さらに、相談員によるあっせんでも不調となったもののうち、同様の苦情相談が多数寄せられているような案件については、消費者被害救済委員会に付託し解決を図っているといいます。そこで、このしくみについて質問しました。

 消費者被害救済委員会は、弁護士や消費者関連などの専門知識を有する学識経験者、消費者委員及び事業者委員で構成し、被害を受けた消費者及び相手側である事業者からの事情聴取等により紛争内容を把握し、法令に基づく専門的な見地からあっせん案を作成・提示することで、消費者、事業者双方の合意による解決を図っている、とのことです。

 あっせん件数は、以前は年に12件程度でしたが、2012年に体制を強化し迅速化されたことで、その年は10件、20135件と成果があがり、2014年度はこの2月までで7件、審議継続中が2件あります。また、区市町村等からもこの委員会へ付託できるよう受付範囲を拡大し、2012年度には5区市、2013年度には2区、2014年度は「英会話教室の中途解約に係る紛争」など3区市から付託依頼があり、そのうち、2件がすでに解決しました。

 しかし、せっかくこのような消費者救済のしくみがあるのに利用せず、泣き寝入りをしてしまう被害者が少なくないのは残念なことです。表面化されなければ同じような消費者トラブル発生を繰り返すことになりかねず、中には、悪質業者を野放しにしさらに被害者を増やすことにつながる可能性があります。 

消費者庁の調査によれば、消費者被害を受けた人のうち誰にも相談しなかった人は、その理由として「相談しても仕方ないと思った」という回答が55.8%と最も多い結果となりました。相談することで解決できた、救済された、という情報が伝わることは、重要なことだと考えます。 

消費者被害救済委員会では、もうひとつの事業として、調停が不調となり訴訟に至る場合には、その資金を貸し付けるなど援助を実施していますが、同委員会で審議に付された案件であることが条件であり、最初のステップとして相談につながることが不可欠となっています。消費者が自らその権利を守るためにも、多くの消費者の目に留まることで相談につながるよう、成功事例についてわかりやすい情報提供に努め、被害防止と啓発に取組むよう要望しました。