都立高入試の採点ミス問題 撲滅より合否線上の正確を期すこと

昨年、都立高校の入試における採点誤りの多発が明るみに出ました。全都立高校の入試の回答用紙を総ざらい総点検したところ、相次いでミスが見つかり、合格点に達していたのに不合格とされていた生徒がいたことがわかりました。 

その数は22人にも上り、都教委は抜本的な見直しを余儀なくされました。有識者や現場職員、保護者も加わっての検討組織が設置され、昨年9月、再発防止・改善策を策定。今年春の入試は「出直し」入試のはずでした。 

ところがどうしたことか。今年も1,064件もの採点ミスがあったのです。またか、と思いました。619日の文教委員会でその報告があり、質疑を行いました。 

わかったのは、今年のミスの多くは記述式問題の誤字・脱字などの採点で生じたこと。前年240件に対し1,004件と4倍以上に増え、見つかったミスのほとんどを占めています。その要因は、都教委が「統一的かつ詳細に」示した採点基準どおりに徹底できなかった学校が一部あったから、とのことです。 

答案の中の誤字・脱字をどう成績に反映させるのか、そのために採点時のチェック方法をどうするのか、あるいは誤字・脱字には重きを置かず採点ミスを減らすことを何よりも優先するのか、など、検討すべき事項が数多くあります。 

都教委に見解を聞くと、来春の入試では、誤字・脱字の取り扱いなどは各学校が受検者の実態に応じて定めるよう変更するとのこと。ある程度現場に任せるというわけです。都教委が一律に定めるより合理的な判断だと思います。 

また、昨年指摘された、答案用紙の保存期間については、文書管理規則を改正し、1年と定めていた期間を全日制課程は3年、定時制課程及び通信制課程は4年としたとのこと。改善が図られたことを確認しました。 

思うに、人的ミスはゼロにはならない、ゼロに近づける努力は必要だが「決してゼロにならない」ものだという前提でシステムを構築するべきだと思うのです。

 入学選考の採点でまたミスが出た、1000件以上もあったと大きく報道されましたが、昨年発覚した「本来合格していたのに不合格とされていた受験生が22人もいた」という問題に比べて深刻さの度合いが違います。

今年のミスは、数こそ多いが、昨年の教訓を生かして改革に着手したことの結果であり、改革途上の試行錯誤の状態から生じたことだったと、質疑を通して確認しました。

 最も重要なのは、合否のボーダーライン上にいる受験生の採点について正確を期すことです。また、採点のミス防止だけを追求してマークシート方式を多用することで子どもの記述力の育成が疎かになってはならないと考えます。この点に十分留意して、採点手続きの改革を進めるよう求めました。