泥沼化する豊洲市場問題 食の安全・安心はどこに
小池百合子知事が就任して最初の都議会定例会が9月28日、始まりました。知事は所信表明の中で、豊洲市場に関する一連の問題やオリンピック経費の問題をとおして都政改革に取り組む姿勢をアピールし、メディアの注目が集まっています。
豊洲市場の今後の去就について知事は、自ら設置したプロジェクトチーム、および再招集した専門家会議の検討を待つとしましたが、9月29日、青果棟のモニタリングポイント3か所から、基準値を上回るベンゼンとヒ素が検出されたことが明らかになりました。
地下空間にたまっていた水は、基準をこえる汚染なしと調査結果が報告され、またこれまで7回にわたる東京都のモニタリング調査では、基準値以上の有害物質は検出されませんでした。しかし今回、微量の有害物質が検出されたことは、食を扱う施設として重大な問題です。
30日に公表された「豊洲市場の地下空間設置と盛土がなされなかったことに関する自己検証報告書」では、「盛り土すべき」という専門家会議の提言から「盛り土なし」の工法に「いつ、だれが、なぜ」変えたのか、解明されませんでした。
発覚してから1か月あまりの間に、泥沼化が進む豊洲問題ですが、本来なされるべき環境対策が実施されないまま建物が建てられていることについて、まず現況の環境汚染状況の全面的調査が必要です。
そのうえで追加対策によって汚染をすべて除去し、可能ならばこれからでも盛り土を行い、それによって環境基準をクリアしたことを確認できなければ、少なくとも新市場の開場は認められません。
生活者ネットワークは、食の安心・安全が実現できる市場整備の実現のために、都知事をはじめ、都が全力を挙げて取り組むことを求めます。