【外環】地下空洞の真犯人「大深度法」、リニアも危ない
昨年10月に調布市で起きた道路陥没事故をきっかけとし、地下の空洞がそこだけでなく、さらに周辺2か所で見つかりました。いずれも外環道地下工事ルートの上であることから、ついに有識者委員会が2月12日、「原因は特殊な地盤と外環道工事の施工ミス」との見解を示しました。
有識者委員会というのは外環道の管理事業者である東日本高速道路(NEXCO東日本)が設置した専門家会議のことで、事実に即して施工ミスを認め、補償に動き出したのはひとまず納得するものの、「特殊な地盤」を原因のひとつに挙げるのは合点がいきません。
自然に形成された地盤が一様に同質な塊であるはずがなく、直径16メートルものトンネル道を長距離にわたって掘り進めるなら、その途中でさまざまな地層や地質に直面するだろうと素人でも考えます。施工にあたって「どんな地盤であっても」対応するノウハウがあって当然ではないでしょうか。
地盤のせいにするなど筋違い、施工前に地質や地層について十分に把握し工法プランを綿密に立てておかなかった、つまり事前調査と準備の不足こそが責められなければならないと思います。
でもそれ以前に私が問題だと思うのは、外環のような地下工事を可能にした制度、「大深度地下の公共的使用に関する措置法」すなわち大深度法そのものです。1980年代のバブル景気のもとで地価が暴騰したため、大型公共事業を推進するための方策として地下空間に目をつけたことに始まり、「地下40メートル以深の空間」を地上の住民に断りなく使ってよいことにしてしまった。
地上環境に影響を与えず地震の影響も受けず、安全だから、という理由です。しかしそれが間違いだったことが証明されました。2月13日、2011年東日本大震災の余震とされる大きな地震が起こり、東京でも震度4と観測されたところですが、震度6や7といった大地震が来たら、地下空洞の周辺はどうなってしまうのでしょうか。ぐずぐずに崩れてしまうのではないか。
大深度法に基づくもう一つの超大型事業として進むリニア新幹線の工事には、さらに重大な問題が山積しています。以前、都議会の質問で取り上げましたが、都が方針を見直すには至らず、注視していく必要があります。
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