映画・オペラ・おたのしみ– category –
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「MOTHER」をみて考える 消された子どものこと
映画「MOTHER」は、実話をもとにした作品です。2014年に川口市で17歳の少年が祖父母を襲った強盗刺殺事件。映画は実際の事件の流れをほぼたどります。 近親者ならではの嫌悪や憎悪の感情が殺意に発展することはめずらしくないのが現実です。でもこの少年は... -
オランダとベルギーの旅、「日本のシンドラー」の息子さん夫妻のこと②
アントワープは、『フランダースの犬』で主人公ネロが憧憬するルーベンスの絵を掲げた教会がある町です。その祭壇でネロが天に召される、という最終場面となった教会に行ってみましたがここもやはり5時閉館で、教会の中には入れませんでした。 ですが、こ... -
オランダとベルギーの旅、「日本のシンドラー」の息子さん夫妻のこと①
猛暑の東京を離れ、夏休みをとって正味10日間のヨーロッパ旅行に行ってきました。旅のメインは例年と同じくザルツブルク音楽祭ですが、今年はオランダとベルギーに足を延ばしました。 音楽祭で1週間、4つのオペラと2つのコンサートを堪能し余韻の残る中、... -
キルギスに降りてきたケンタウロス「馬を放つ」
馬にまたがった男が両手を掲げ草原を疾走する――。このポスターは映画の最初の方に一瞬出てくる場面です。原題の「ケンタウロス」そのものですが作品の本質が凝縮されています。男は他人の家から馬を「逃がすために」盗み、疾走しているのです。 空を仰ぐよ... -
生き延びることはクールだ! 『ロープ』が映す紛争地の日常
戦争映画は苦手です。戦中を描くならドキュメンタリーか、『父と暮らせば』や『この世界の片隅に』のような、「暮らし」を見つめた作品にひかれます。この映画『ロープ/戦場の生命線』は、どちらかと言うとロードムービーに近いかもしれません。 舞台は19... -
おだやかに進む「革命」へのリスペクト
生活クラブ生協が登場し協賛もしているドキュメンタリー『おだやかな革命』は、滋味豊かなスープのような、心と体にじんわり効く映画です。秋田、福島、岐阜、岡山の各地で「おだやかに」革命を起こす人びとへの渡辺智史監督のまなざしがリスペクトに満ち... -
「太陽の蓋」でよみがえる「3.11のリアル」
今年も3月11日がやってきます。2011年のあの日、3月11日午後2時46分から始まった数日間を描いた劇映画、「太陽の蓋」の上映会を2月18日、杉並の消費者グループが催しました。 あの日々の恐怖と息苦しさがよみがえってきて、体を固くして見ました。ストーリ... -
アウシュヴィッツを訪れて 〜その2
施設群を実際に見てわかったのは、史上最悪の殺戮が決して「人の狂気」によるのではなく、むしろ知識の粋を集め経験の蓄積を生かして技術を開発し、効率的に目的遂行するためのあらゆる人智が結集されてできた高度の「システム」だったということでした。 ... -
アウシュヴィッツを訪れて 〜その1
ザルツブルクを一時離れ、思い切ってアウシュヴィッツを訪れました。ナチスのホロコーストの舞台となった「死の工場」です。首都ワルシャワの南に約250キロ、古都クラクフから車で1時間半ほどの位置にアウシュヴィッツ強制収容所はあり、今はポーランドの... -
観光都市の安全を考える
夏の休暇でザルツブルク音楽祭に来ています。1年ぶりのザルツブルクでいくつか気がついたことがあります。 コンサート会場やオペラハウスが集中する劇場街に警官が増えたこと。警備要員なのか、ヨーロッパ各地でのテロ頻発を警戒してのことだろうと思いま...