半端じゃない 福嶋浩彦・前市長の我孫子の実践

身近な自治体だからこそ予算改革

予算議会が終ってしまった後ですが、「予算改革をはじめよう!」というタイトルの企画に参加しました。3月29日、「市民と議員の条例づくり交流会議」が主催の、議会改革を議論する交流会議です。今回の基調講演は福嶋浩彦さん。

福嶋さんは我孫子市長だった04年、杉並区がセシオンで催した「すぎなみ自治のつどい」という企画に清水聖義・太田市長、中田宏・横浜市長、穂坂邦夫・志木市長、それに山田宏区長とともにパネリストとして参加されています。

このとき基調講演とパネルディスカッションの進行を担った北川正恭さんの印象はいまでも思い出せるのに対し、福嶋さんがどんな話をしたのかほとんど覚えていなかったのですが、今回の現役市長時代の実践の話には引き込まれました。

徹底的に市民自治を追求し、そのために行政や議会、ときに市民とも闘った3期12年だったようです。「市民にできることは市民がやる。できないことは行政が。ただしその場合、まず市民に一番近い区市町村ができることを全部やる。」

だから「予算は行政の基本であり、予算編成への市民参加はきわめて重要」というのも当然のこと。予算案を市民に公表してパブリックコメントにかけ、それを受けて修正してまたパブコメ、さらに修正して、というように4回も繰り返し、過程をオープンにしつつ予算編成を練り上げていく、というのは半端ではありません。

「水面下での根回しは一切しませんでした」と福嶋さんがこともなげに言い切ったとき、会場全体で「えーっ」という驚きのリアクションが起きたことが、いまの各自治体の現状を表しているのでしょう。

自治体の政策や方針を議員同士が討論し「議会としての総意」をまとめる議会でありたい。その「総意」で首長提案を修正することのできる、予算の場合は原案訂正もありうる議会に——。たしかにそうです。

でも、人口53万人、一般会計1500億円規模の杉並区で、48人の議員の総意をまとめるって・・・、やっぱり難しいなあ、と考え込んでしまった帰り道でした。