ヤングケアラーの問題は子どもの人権にかかわる
厚労省が全国規模でヤングケアラーについて調査を実施したところ、中学2年生の5.7%、高校2年生の4.1%が家族介護を担っているという結果が出ました。昨年、埼玉県で高校2年生の4.1%がヤングケアラー(現在または過去)という調査結果が発表されたとき、その数の多さに驚きましたが、埼玉県だけではなかったということです。
ヤングケアラーに関する最初の調査は、新潟県南魚沼市で2015年に行われたものだと思います。私は市民団体「ケアラー連盟」が行ったこの調査の報告会に参加し、家族のケアに時間も自由も取られ、子どもらしい遊びや学び、休息や睡眠が奪われている子どもが存在するという事実に衝撃を受けました。さっそく都議会の一般質問でヤングケアラーについて取り上げようと動いたところ、都の職員はそのような問題があるとの話は聞いていないと言い、質問の形に至らず要望を述べるにとどまりました(*)。
ケアラー連盟はそれ以前から「ケアラーを支援するしくみ」としてケアラー支援条例を自治体が制定するよう提案していました。私も2010年に杉並区議会でケアラー支援のしくみを求めました(*)が実現に及ばず、昨年3月、全国で初めて「ケアラー支援条例」を制定したのが埼玉県です。ヤングケアラーの調査が行われたのは、この条例ができたからでした。
埼玉県の後を追って厚労省、東京都もヤングケアラーの実態調査を実施し、報道の機会も増えたことで18歳未満の「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」、すなわち「ヤングケアラー」という言葉の認知が広がったことは、支援への第1歩です。名前が与えられ、その存在が明らかになれば、当事者を見つけやすくなるし、本人も声を上げやすくなるでしょう。
江戸川・生活者ネットワークの仲間たちもヤングケアラーについて福祉職や医療関係者など専門職へのアンケート調査を昨年行い、ヤングケアラーを発見することの重要さを再確認しました。東京・生活者ネットワークは昨年よりプロジェクトチームを立ち上げケアラー本人を対象とした聴き取り調査を行う中で、ヤングケアラーを対象としてていねいに耳を傾ける活動を行っています。
この調査については別の機会に詳述しますが、ヤングケアラー支援については2021都議選に向けた提案の中に位置づけています。子どもの人権にかかわる問題だと思います。決してひとりにしない、孤立させない社会の目としくみが必要です。