「子どもにふさわしい世界+5」 平野裕二さんの話を聴く

日本のお寒い「子どもの権利」状況

子どもの権利条約ネットワークのイベントで平野裕二さんが話をするというので聴きにいきました。平野さんほど子どもの権利を科学的に論じて世界の子ども事情に通じた人はいないので、最新の情報に触れられるのが楽しみなのです。

国連で子どもの権利条約が採択されてから18年になった(同条約では子どもは17歳までと定義しているのでつまり「成人になった」)昨年、ニューヨークの国連子ども特別総会が02年に採択した「子どもにふさわしい世界」という成果文書の5年後の振り返りが特別総会で行われ、「子どもにふさわしい世界+5(プラスファイブ)」宣言が採択されたのだそう。

ところが日本の状況はお寒いばかり。国別の行動計画を策定するつもりはなさそうだし、条約に照らして状況を報告する政府報告書は期限を2年も過ぎて(!)ようやくこの4月に提出したという。条約に国として批准しているのに、です。

平野さんによれば報告書の中味がまたひどい。先進国で「子どもの権利」意識がもっとも遅れているのは米国ですが、日本はたぶんその次ぐらいでは?

国連の権利委員会の勧告をまったく意識していないか理解していないか、誤って理解しているか、このどれかみたいなことになっているらしい・・・。

2002年5月、国連で子ども代表が読み上げた「私たちにふさわしい世界」は例えばこんなふう。原文は英語、安部芳絵・平野裕二による訳です。

私たちは問題の根源ではありません——私たちは問題解決のために必要な資源です。
私たちは支出ではありません——私たちは投資です。

私たちには意志があり、知識があり、感受性があり、献身があります。

みなさんは私たちを未来と呼びます。けれども私たちは現在でもあるのです。

どうでしょう。子どもに対する見方を変えないといけない、子どもにふさわしい世界にしないと、と思います。子どもを世界に合わせるのでなく。

写真 「代理人と語ろう」で議会の報告をする(5/1 地域協議会)