山本さくらさんモーツァルトを演じる

『フィガロの結婚』オペラティックコンサート

パントマイムは想像力を刺激するアートです。その省略、誇張、象徴、時間・空間の超越。狭い空間でも演じ方しだいで大海原にも深い森の中にも、満員電車の中にもビルの屋上にもなるし、鳥にも少年にもおばあさんにもなります。

パントマイマー、山本さくらさんのレパートリーのひとつに「食虫植物」があります。さくらさんの顔が虫を食べる「花」で両手は葉っぱ。音楽に合わせて身体をくねくねさせながら葉が虫を捕まえては口の中に入れ、むしゃむしゃ食べるという筋。

そのBGM、というか彼女(花)が口パクで歌うテーマソングが、モーツァルトのオペラ『魔笛』の中の夜の女王が歌う有名なアリアで、実際に歌っているのは稀代の名ソプラノ、エディータ・グルベローヴァなので、もしかしたらさくらさんもオペラ好きかな、と思っていましたが・・・。

彼女のステージづくりのスタッフが、オペラ演出家の八木清市氏だったことに気がついて納得しました。あの「花」は八木氏の演出によるもので、だから氏が演出するオペラコンサートにさくらさんを起用しようと考えたのも、きっと自然なこと。

この日はモーツァルト役がさくらさんのパントマイムで・・・もう、ぴったりはまり役!

というのは、オペラ『フィガロの結婚』のストーリーを追いながら7人のアリアを4人の歌手が歌い継ぐコンサート。アリアを聴くならソプラノ以下4人いれば最小限OKなので、7人歌手がいるべきところを4人にケチった、ということではないわけ。

ほかに物語を説明するナレーターがいて、さくらさんのモーツァルトは道化か狂言回しのような役回り。『フィガロ』は人物関係が複雑なので、説明を聞いたくらいではよく理解できないのでは、と思いましたがこのキュートなモーツァルトのおかげで、ちょっと小粋なコンサートになったことは確かです。

今度は『コシ・ファン・トゥッテ』をこのスタイルで上演してくれないかなぁ〜。