永福学園カフェ「永福ブレンド」は極上の香り

都立特別支援学校を視察する

今年5月のある日、身体障がい児をもつAさんという方から、この4月に開校したばかりの永福学園に子どもが入学したが問題が多々あって…と相談を受けました。授業に必要な備品が未設置、看護師の配置が不十分、介護士が障がい児の対応について未熟、親が毎日送迎しないと成り立たない…などの状況を訴えておられました。

事前の準備が間に合わない状態で学校が始まったことと、親・学校双方の意思の疎通ができていないことによる問題と考えられました。都行政については都議会生活者ネットワークに調査を頼み、Aさんには複数の親同士で集まって問題点を整理し、文書にして学校に提示してみては、と助言しました。

その後6月の都議会で当時の都議、生活者ネットの山口文江さんがこの件で当局に質問した時には事態はずいぶん改善され、Aさんからも状況が好転しつつあることを聞いていました。

そんなことがあり、永福学園を一度見学したいと思っていましたが、11月9日、その機会を得ることができました。

もと都立永福高校だった校舎が特別支援学校として生まれ変わった永福学園は、2年前の2007年に「高等部就業技術科」がスタートし、今年から「肢体不自由教育小学部・中学部・高等部」がオープンしたものです。

前者は軽度の知的障がいのある子が技術を身につけ企業就業をめざす、1学年100人、3学年で300人の高校で、後者は重度の身体障がいのある子を対象とする、小学生から高校生まで66人の小規模な学校。つまり永福学園は2種類の学校からなっています。

「就業技術科」は従来にはなかったタイプの特別支援学校です。「100%の生徒の企業就労」「社会自立・社会貢献の達成」をミッションに掲げるとおり、職業教育に力を入れ、現在800社の企業の協力で本職のプロから職業技術の手ほどきを受けます。校内で清掃する子たちも、パンフレットを折ったり折箱をつくる子も、授業の一環としての作業です。

校内に2か所あるカフェは、ロイヤルホストやスターバックスの協力でプロ仕様のシステムを導入し、接客のしかたも学びながら本格的なコーヒーをサービスしています。もちろん地域に開いてお客さん大歓迎です。

「永福ブレンド」は香り高くほんとうにおいしいコーヒーで感心しました。来春にはこの学校として初めての卒業生を送り出すことになりますが、この不況下で100%の企業就労を達成するのはたいへんなことです。先生たちは「足で稼ぐ」のだと言っておられました。営業活動の成否が結果になると思えば、きっと必死でしょう。