「杉並区版エコスクール」はハードとソフト、環境教育の3つの柱
かつて杉並区の学校施設における環境施策は、山田前区長の「教室にクーラーは設置しない」という政策を前提として進められてきました。2006年「風とみどりの施設づくり」、翌年には学識経験者や建築家、学校関係者、環境団体なども交えてまとめた「環境共生型学校施設」整備が提案されました。
これが実質上「杉並区版エコスクール」のスタートとなり、その後、「既存校におけるエコスクール化の推進」が提案され、現在につづく「すべての学校をエコスクールに」という方針のベースになっています。
建て替えでエコ設備を取り入れた新しい校舎だけでなく区内の全校が「エコスクール」であり、ハード面だけでなく環境教育、環境配慮行動をふくめて3つの柱が同時にすすめられることが「杉並区版エコスクール」の特徴です。
この「杉並区版エコスクール事業」の意義をもう1度確認しあらためて推進してほしい、という思いでの今回の質問です。
その後、高井戸小、方南小、荻窪小、松渓中、天沼小の全面改築ないし新設に伴い、クールヒートトレンチやナイトパージなどが導入されて注目を集めましたが、費用対効果や現場の管理・運営において課題が明らかになり、また田中区長の「すべての普通学級にクーラーを設置する」という方針が打ち出されたこともあり、行政監査を受けて今年、事業が見直されることになりました。
また3つが同時といっても実際にはハード面とソフト面が切り離され、既存校と改築・建設校でも担当が異なるなど、事業を一体としてとらえられてこなかった感があります。今年度の組織改正ではその点の改善を図ったということです。
環境に配慮した施設運営や管理の方法は、学校ごと、教室ごとに違うはず。学校が立地する地域の状況や、教室の位置、日照条件などに応じて省エネ対策を立てるべきです。専門家の協力を得て、学校ごと、教室ごとに省エネのための小改築や省エネ行動マニュアルを作成すべき、と質問したのですが。
対する答弁は、「既存校舎の構造はほぼ同じ」、職員の知恵と経験ですでにやっていますから、というもの。区との課題の共有がいまひとつだったようです。