なぜ?盲学校に「教育出版」の道徳教科書

2017年11月6日 22時27分 | カテゴリー: 子どもと人権, 杉並と東京都の教育と教科書問題

2018年4月から小学校で「特別の教科・道徳」が始まることについて、教育の右傾化を懸念する者として不穏な空気を感じています。先日、安倍首相の下で第4次政権が発足したところですが、これまでの安倍政権の下でどれほど教育行政がゆがめられてきたことか。その延長線上にこの「特別の教科・道徳」があると考えます。

小学校で使う道徳の教科書について、今年夏、全国各地で採択が行われました。文科省の検定に合格した出版社は8社ありますが、安倍首相の写真の恣意的な使用など、政治的に偏った内容に多くの人が警鐘を鳴らしているのが「教育出版」の道徳教科書です。

杉並区で採択されたのは東京書籍版でしたが、その「教育出版」を、都教育委員会は視覚障がい児対象の盲学校4校用として、採択しました。都立特別支援学校のうち肢体不自由児の学校や聴覚障がい児には別の出版社を選びましたが、盲学校だけは「教育出版」です。都教委の説明は、視覚障がいに対応する点字の道徳教科書は教育出版だけなので他の選択肢はない、というのです。

調べてみると確かにその通りでした。どの社の教科書を点字化するかを決めるのは、文科省の特別支援教育課であり、ここで決まった教科書だけが点字本となり、全国の盲学校や視覚障がい教室のある特別支援学校で使われることになる。そういうしくみだったのです。東京都だけではありませんでした。

文科省の特別支援教育課がなぜ教育出版を選んだのかはわかりません。聞けばおそらく「検定合格したものだから問題ない」と答えるに決まっています。しかし本当にそうなのか。

そもそもなぜ道徳が教科化されることになったのかと言えば、2011年におきた大津市の事件が発端です。いじめを苦に中学生が自宅マンションから飛び降りたことがきっかけとなって、いじめ防止法が制定され、各自治体でいじめ防止のしくみ整備が進みました。

地方教育行政の法律改正もなされ、首長が教育行政のトップとしてかかわるシステムに変えられました。学校教育の現場に大きな変化をもたらす法改正であり、さらに加えて道徳教育が強化されることになりました。

いじめ防止のために道徳教育が必要と説く人たちが口をそろえるのは、しつけやお辞儀、親や目上の人に対する礼節、倫理、従順さ、国を愛する心…が重要だから、ということです。

でも違うと思う。そうじゃない。重要なのは人権教育であって押し付け道徳ではありません。道徳教育にいちばん必要なのは人権を学ぶことであり、それこそがいじめの収束につながる解決策だと思います。