平野裕二さんと「子どもの居場所」について懇談する

「ほどほど安心」のすすめ

福岡に引っ越した平野裕二さんが東京にみえる、というので杉並・生活者ネットワークの「子ども部会」にお呼びしました。去年まで杉並区民だった平野さんが共同代表を務めていた「杉並に子どもの権利を守るしくみをつくる会」(しくみの会)がいまは休眠状態なので、お会いするのは久しぶりです。

「しくみの会」は、「子どもの権利条約」の精神が杉並で実践されるための「しくみ」がつくられることを目指し、連続学習会を開くなどしていました。講師の平野さんは「子どもの権利条約」について語らせたらこの人の右に出る人はいない、というほどの人なので、講義の内容の濃いことといったらありませんでした。

この日は、私たちが関心をもっている「子どもの居場所」についての話題が中心になりました。いまの子どもは生活圏も情報が得られる範囲も広がっているのに「居場所が減っている」と感じられるのはなぜか、という疑問が発端です。

子どもには「自発的に発見できる場」が必要だが、「安全・安心」が絶対的に最優先されるなかで、子どもが自由に使える時間も空間も奪われ「囲い込み」が進んでいる。それは子どもにとって幸せな状態といえるのか。

結論から言ってしまうと「ノー」です。だからといって「安全・安心」を犠牲にはできない。ではどうしたら・・・?

子どもが安心できる居場所とは何か、について話しているうちに出てきたのが「ほどほど耐震」からの連想で「ほどほど安心」というフレーズです。

がっちり組み立てた城壁のように防衛するのでなく、そこそこ安全な地域、ほどほどの子育てでいいじゃない、という考え方です。そこには活発なコミュニケーションや親同士の楽しそうなネットワークがあり、子どもと親を信頼した視点が欠かせないのはもちろんです。