近藤惠津子さんが説く「食と地球のつながり」

生協活動から始まった問題意識

生活クラブ生協の活動から「コミュニティースクールまちデザイン」を始めた近藤惠津子さんを講師に、「食」について考える学習会をもちました。

「家族そろって楽しい○○」の○○に入る言葉は何?——そう聞かれて、「食事」か「夕食」だろうと私なら思いますが、今の若い母親たちの多くは「ディズニーランド」と答えるのだそうです。食よりレジャーが大事だと。家庭での「食」の位置が低下した実態を表したエピソードのひとつです。

一人当たり栄養摂取量も55年の2,104キロ㌍から04年1,902に低下、しかし供給量が2,562に増えているのは、その差660キロ㌍が捨てられたことを意味します。この50年間に炭水化物の摂取は7割に減り、脂質は2.6倍に増加。

今はめったに言われなくなった「エンゲル係数」の数値が1947年の63%に対し2002年は23.3%へと低下を示したのも、所得水準が上がったために分母が大きくなったから、というだけではないようです。

自給率40%の日本が食料を大量に輸入していることの意味は、広大な農地や大量の水を他国に依存することであり、その土地を農薬で汚染し子どもを低賃金で働かせ、輸送のために大量の石油を使用し窒素量の不平等を生み・・・とあげていくと、日本人はなんと罪深いのだろうと考え込んでしまいました。

7,8年前に遺伝子組み換え食品(GMO)反対運動の全国組織ができたとき近藤さんが実行委員長を務め、幕張で開かれたGMO関連の国際会議を委員のひとりだった私も一緒に傍聴したことがあります。

その後も一貫してこの問題を追い続け、GMOが日本にもたらす多くの問題がいっこうに解決に向かわない深刻な状況を指摘した近藤さんですが、最後に「楽しく食べることが何より大切」と締めくくったのは、その問題意識が生協の食べる活動から始まっただからこそと思います。