消費者行政はこれからどうなるのか

民主党案「権利院」について大河原雅子さんから聞く

福田前首相(もはや遠い昔の人という感じですが)が提唱した、消費者行政の一元化政策の具体案、「消費者庁」構想は、麻生首相になってすっかり影が薄くなってしまいました。国会での法案審議のための組織ができるようですが、実際にいつから審議が始まるのか見通しが立たない、と報じられています。

でも食をめぐる幾多の問題を始めとして振り込め詐欺の多発、ガス湯沸かし器に代表される家庭用器機の事故など、消費者が被害を受ける事件が相次ぐ状況はちっとも改善されていません。

先の区議会では、地方の消費者行政を強化するよう国に求める意見書提出が全員一致で議決されました。消費者の生活実態がわかっているのは地方なので、地方の行政が強化されるのはもちろんいいことですが、国でなければできないことが多いわけで、その重要性に気づいてほしいものです。

「消費者」という特別な対象者がいるわけではなく、あらゆる人が対象だという当たり前のことが忘れられているように思えてなりません。

「消費者庁」構想が出たあと、民主党が「消費者権利院」という対案を出した、と聞いて関心がありました。大河原雅子さんが消費者行政についての学習会を開くというので、いい機会と思い参加しました。講師は鈴木深雪さんです。

消費者政策の研究者、鈴木さんからは、消費者行政が本来担うべき役割から見て、消費者重視の展開がされ被害救済に力が注がれなければならないことなど、理論立てた中身の濃い講義が聴けました。

民主党案の「権利院」については大河原さんからレクチャーを受けました。政府案の「消費者庁」が政府の内部的であるのに対し、民間が主体の「権利院」は完全に独立性をもち権限が強力、という点が特に印象に残りました。

消費者の側に立った問題解決がされるには、司法が立法・行政から独立しているのと同じように独立した組織であることが必要、という認識にもとづき、そうとう強力な組織として構築しようと考えているようです。そして、政権交代が実現すればすぐに着手する、というのが大河原さんの説明でした。

写真 裁判員制度の学習会で講師にお呼びした弁護士 四宮啓さんと 12/13